ランプトンの龍と誓い:イングランド

ランプトン家はウィア川沿いに広大な土地と立派な屋敷を持っていましたが、跡取り息子は教会のミサにも行かずに釣りに没頭し、家族を悩ませていました。


◆龍を倒したものの誓いが破られたために…◆

そんなある日、息子はいつものように釣りに行くと、何故か一匹も釣れません。そのうちイモリのような頭をし、口の両側に9つの穴があいている大きく醜い龍を吊り上げました。

すると、見知らぬ老人がどこからともなく現れ、「その怪物は川に戻さず、お前の責任でどうにかするように」と言い残して姿を消しました。しかし、息子はこんな龍の面倒を見るのはいやだと、近くの井戸に放り投げてしまいました。それ以来この井戸はワーム・ウェル(龍の井戸)と呼ばれるようになりました。

龍はこの井戸の中でどんどん大きくなり、ついには井戸から逃げ出して、ウィア川に住み着くようになり、土地を荒らしたり、家畜を食べたりして、人々を恐れさせました。

恐ろしい龍がやってくるようになって、ランプトン屋敷の息子は責任を感じるようになり、キリスト教の誓いを立て、自分がもたらした災いの種がなくなることを願って聖地に赴きました。

そうこうしている間にも、龍は荒れ狂い、龍を退治しに言った多くの騎士たちが命を落とすことになりました。そして、聖地からランプトン屋敷の息子が戻ってきたときは7年の歳月が過ぎていたのです。

息子は龍を退治するため、ブルージフォードの賢女に助言を求めました。賢女は、息子に鍛冶屋に行って槍の先を埋め込んだ鎧を作ってもらい、ウィア川のワームズ・ロック(龍の岩)で迎え撃つように言いました。

ただし、龍を倒したら、屋敷に戻って敷居を跨いだ後に最初に出迎えたものを殺すという誓いを立てなければなりませんでした。誓いを破れば、ランプトン家のものは九世代の間ベッドの上で死ぬことはできないというのです。

息子は誓いを立てて、鍛冶屋で鎧を作ってもらい、ワームズ・ロックで龍を迎え撃ちました。息子は悪戦苦闘の末、なんとか龍を退治することができました。

息子は、最初に出迎えた者を殺さなければならないという誓いを忘れなかったので、一番最初に犬を迎えによこさせるに屋敷のものに命令していました。

しかし、息子の活躍を知った父親は大喜びし、一番最初に息子に抱きついてしまいました。驚いた息子は「誓いだ、誓いだ」と言って、犬を斬りました。

しかし、とき既に遅く、誓いは破られてしまい、九世代の間ランプトン家の男は誰一人としてベッドの上で生涯を終えることはできませんでした。