李冰(りひょう)と悪龍の戦い:中国

昔、現在の四川省にあたる蜀郡の太守に李冰というものがいました。そのころ蜀では毎年のように、龍が暴れまわり、河川は氾濫して、人々は住処を失いました。


◆毎年のように川を氾濫させ人々を困らせたという龍◆

李冰は子の悪龍を退治しようと、牛に姿を変えて水中で戦いを挑みました。しかし打ち負かすことはできませんでした。

岸に上がると、李冰は勇敢な兵士を州百名ほど集め、弓を持たせて言いました。「わしはさっき牛に変身したので、今度は悪龍のほうも変身してくるに違いない。二頭の牛が戦ったのでは見分けがつくまい。わしは腰に白い布を巻きつけるので、お前たちは白い布を巻いていない牛を狙って弓を射ろ」

こう命じて牛に化した李冰は、水中に飛び込みました。するとにわかに風雪が巻き起こり、天地は一変しました。しばらくしてやむと、二頭の牛が岸に上がり、くんずほぐれつ格闘しています。

兵士たちは遠巻きに様子を伺いながら、白い布のついていない牛めがけて一斉に弓を放つと、悪龍はドサッと倒れて息絶えました。これ以降、蜀では二度と水害は起こりませんでした。

河川が氾濫しそうになると、人々は李冰の廟にお参りに行きました。すると水は自然に引いていったそうです。この廟には現在、石でできた牛が置いてあります。