娘を龍に嫁がせた老人:アラブ

ある日、托鉢僧が広場で人々と一緒に座って話をしていました、すると、遠くから大きな炎がやってきたかと思うと、七つの頭を持つ巨大な龍が広場の中央に下りてきました。


◆財産が何もない老人は娘を龍に嫁がせました◆

托鉢僧と、とても貧しい老人を除いて、人々は皆、恐れて散り散りに逃げていきました。托鉢僧は人々が恐れているのを見ると、こう言いました。「恐れることはない。この龍は、嫁を欲しがっているのだ。誰かこの龍に娘を嫁がせるものはおらぬか」

人々は安心して、托鉢僧と龍の周りに集まってきました。誰も龍に娘を嫁がせようとはしませんでしたが、この世に財産は娘だけという貧しい老人だけがその申し出を受け入れました。托鉢僧は、老人と娘を結婚させました。すると、龍は娘を肩に乗せて行ってしまいました。

そして、数年が経ちました。老人は毎日、広場にやって来ると、托鉢僧のそばに座って説法を聞きました。托鉢僧は、老人が日増しに衰えていくのを見たが、何も言いませんでした。

ある日、托鉢僧は老人に言いました。「老人よ、娘さんのことを心配しているのだろう」 老人は喜んで答えました。「はい」 そこで、托鉢僧は、ある洞窟の場所を老人に教えました。そして、そこで見たことを誰にも言ってはならぬと告げました。それを聞くと、老人はすぐに出発しました。

老人は、砂漠や荒野や山など長い道のりを経て、洞窟の入り口に着きました。老人は疲れとのどの渇きによって、そこへ座り込んでしまいました。すると、洞窟か一人の娘が出てきました。

「おじいさん、何か欲しいものはありますか?誰かをお探しなんですか?」 老人は答えました。「お腹がすいて、のどが渇いています。私は、遠いところから、龍に嫁いだ娘を探しにやってきたものです。」

老人が話し終えると、この女中の娘は、洞窟の中へ入って行き、主の婦人にこのことを伝えました。婦人は命じて言いました。「その老人に洞窟へ入ってもらいなさい」

老人は洞窟へ入ると、物も言えないくらい驚きました。洞窟の中は、王様の宮殿のようで、銀でできた器や入れ物がたくさんありました。老人は、自分の娘がそこにいることすらわかりませんでした。

しかし、娘には父親がわかりました。娘は父親を抱きしめ、口づけして言いました。「私はあなたの娘です。ここが私の嫁ぎ先です」 老人は大きなため息をつき言いました「娘よ、お前はいい暮らしをしているんだね。でも、龍が夫とはかわいそうに」

娘は笑って、父親に言いました。「私の夫は天国と地獄の万人で、龍ではありません」 そして、娘は父親の目の前でお祈りを唱えた。すると突然、背の高い美しい若者がやってきて、老人に挨拶した。そして、娘が言いました。「これが私の夫の本当の姿です。」

老人は一月の間、娘のところに泊まりました。あるときは天国に行き、あるときは地獄にも連れて行ってもらいました。無地に帰ってこれましたが、小指の先が少し焦げていました。

それを見た老人はある人に2リヤル(イランの通過:1リヤル0.05円)だけ借金していたことを思い出しました。来てから一月たったときに、老人は旅の荷物をまとめて帰る用意をしました。

娘と婿が、いくらとどまってくれるように頼んでも聞かずに帰ることになりました。老人は婿に言いました。「できるだけ早く行かなくてはならないのです。2リヤルを返さなくてはいけないのです。」

老人は、娘と婿に口付けをして、お別れを言い、故郷へ帰っていきました。