二頭の龍:ドイツ

チューリンゲン地方のシューテン村には、大きな池がありました。その池には雄と雌、二頭の龍が棲んでいました。龍はあたり一帯を荒らしまわり、特に家畜に大きな被害を与えていました。


◆龍を退治するしか二人に助かる道はないといわれ…◆

当時この地方一帯を支配していた領主たちは、この二頭の龍を退治しようと、あらゆる手段を用いましたが、残念ながら、上手くいきませんでした。

ところで、この領主たちの使用人の男と女中が情を通じていました。当時はこのようなことは厳しく罰せられており、この二人も死罪が宣告されました。しかし、もし二人が池にいる龍を退治するなら、命は助けてやるといわれました。

二人は龍退治を決意し、どちらが行くかで、くじで決めることになりました。くじはまず女中に当たりましたが、男が最初に、龍との戦いの危険に身をさらすことを引き受けました。

男は槍と剣で武装して勇敢にも池に向かいました。ちょうど聖ヨハネの祝日の真昼時でした。二頭の龍は尻尾を互いに絡ませながら、岸辺に寝そべって、日向ぼっこをしていました。

男はゆっくりと龍に忍び寄り、二頭の絡んだ尻尾を一撃のもとに切り落としました。黒い血が龍の体から流れ出し、龍は息絶えました。問う言うのも、龍の生命は尻尾にあったからです。

龍退治をした男と女中は許され、退治の記念としてその場所に井戸が掘られました。その井戸には水飲みの鉄製のひしゃくが備えられており、また、尻尾を絡めた二頭の龍の石造も刻まれました。